伝統仏壇(金仏壇)
金仏壇は、江戸時代からの歴史を持つ産地が全国各地にあり、経済産業大臣指定の伝統工芸品となっている産地や、都道府県知事指定の伝統工芸品となっている産地があります。
それぞれ地域によって彫刻や蒔絵、塗りなどの技法に違いがあります。
伝統仏壇(金仏壇)の種類
金仏壇作成工程
伝統的な金仏壇は、木地、塗り、蒔絵、金箔押し、彫刻、錺金具、宮殿など、各工程が細分化されており、それぞれの分野で職人が存在します。
1. 木地
主に、檜・桧葉・杉・松などが使われていおり、欅・銀杏などを使用することもあります。
部分によっては、天然合板が使用されます。木地を制作する職人を「木地師」といいます。
2. 塗り
塗りには、大きく分けて本漆と合成漆があります。
本漆は漆木から取れる樹液を精製してつくられる天然樹脂塗料で、湿度が高いと乾き、湿度が低いと乾かず、化学塗料とは逆の性質をもち、加工に手間がかかります。
その反対にカシュー漆は、カシューナットから採取しされるカシューかく油(殻油)などを樹脂化・加工してつくられた化学塗料で、漆に化学構造(性質)が極めて似ており、取り扱いしやすく低価格です。そのため、現在の金仏壇の塗りの主流を占めます。
カシュー樹はウルシ科の植物で、南米・西インド諸島などが主な原産地で、現在ではベトナム・インド・ブラジル・中国などが主要産地になっています。
専門の職人を「塗り師」といいます。
3. 蒔絵
漆で紋様を描き、金粉や銀粉を付着させた技法のことをいいます。蒔絵には、伝統的に「磨き蒔絵」「高蒔絵」「平蒔絵」などがあります。安価なものではシルクスクリーン印刷の蒔絵やシールの蒔絵もあります。専門の職人を「蒔絵師」といいます。
4. 彫刻
欄間や障子の腰、柱飾りなど、仏壇には繊細な多くの彫刻が彫られています。
彫刻には一枚彫りと、細かい彫刻を付け足した付け彫りがあります。専門の職人を「彫り師」といいます。
5. 宮殿
ご本尊様をお祀りする場所、須弥壇の上の部分を宮殿といい、とても多くの部品を組み上げて造られています。
お仏壇のによっては、総手先、御坊屋根、龍手先、御堂造りなど職人の技術が込められたものもあります。
専門の職人を「宮殿師」といいます。
6. 金具
仏壇に取り付けられる金具のことをいいます。仏壇の補強とともに装飾の役割も果たしています。
伝統工法では鏨(たがね)を使って金属を加工する手打ちの技法を用いられますが、現在ではプレスやNC加工機などを使用するものもあります。
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金箔・金粉
金箔とは、金・金合金を薄く打ち伸ばしたものです。
公正競争規約では、純度94%以上の金箔を「金箔・本金箔」と表示できます。
中国において1~2世紀にかけて製箔の技術が成立しており、日本には中国からの渡来者が伝えたといわれます。
現在では、金沢とその周辺地域が主要産地になっています。
種類としては、金・銀・胴の含有率(五毛色・一号色・二号色・三号色・四号色・三歩色)と、製法の違い(縁付き箔・断ち切り箔)で分けられます。金の含有率が高くなるほど赤みがまし、低くなれば青みがかってきます。現在最も製造枚数が多いのは、四号色の断ち切り箔で、多くの仏壇に使用されています。
蒔絵粉ともいい、規約では純度94%以上の金粉を「金粉・本金粉」と表示できます。
金粉の形状で分類すると、平目粉・梨子地粉・丸粉・半丸粉・平粉・消粉が有ります。
仏壇・仏具の仕様表示である粉仕上げには消粉が使われ、他の金粉は蒔絵粉として使われます。
専門の職人を「金箔押し師」といいます。